『POG直球勝負 2024-2025』追加コンテンツ:直前情報“魔球”(パスワードはP268参照)

公開日:2024年4月19日

ノーザンファーム早来注目馬

早来牡馬のナンバーワン候補の一頭がインクルードベティ22(牡・父キタサンブラック・中内田)。山内厩舎長が「これは走ると思う」「総合点が凄く高い」と絶賛する逸材です。ヤングスター22(牡・父キズナ・中内田)とともに既にゲート試験にも合格済み。本編ではヤングスター22を取り上げましたが、この2頭は甲乙つけ難い存在でしょう。
その山内厩舎長が「こんなに柔らかいエピファネイア産駒は初めて」と評するのがサロニカ22(牡・父エピファネイア・池添)。山内厩舎長は、かつてアルアインにも「ちょっと感じたことのない柔らかさ」とコメントを残していました。柔らか過ぎる故に、もう一段上のギアがあるかという点を懸念されていましたが、「もし、(もう一段上の)ギアがあったら、相当走ると思う」ともおっしゃっています。こちらも既にゲート試験に合格済み。
父も手がけた木村厩舎長が、今年のドゥラメンテ産駒はどれも甲乙つけ難いと高評価。ウィープノーモア22(牡・父ドゥラメンテ・池江)、カラフルブラッサム22(牡・父ドゥラメンテ・堀)、ポジティブマインド22(牡・父ドゥラメンテ・国枝)はしっかりマークしておきたいですね。また、合同取材の最後に、「これも(合同取材に出ていないけど)オススメ」とおっしゃっていたマイハッピーフェイス22(牡・父キタサンブラック・萩原)も忘れずにチェックを。ゲート試験合格済みで、早期デビュー濃厚です(残念ながら、その後に骨折が判明)
イクイノックス、タスティエーラなどを手がけた桑田厩舎長の評価が高い馬がシロインジャー22(牡・父ミッキーアイル・堀)。「大型で緩さを残した中で早期移動できたのはベース能力が高いから」とのこと。昨年新馬勝ちしたボルケーノと同オーナーでもありイメージが重なります。
本編では牝馬ナンバーワン候補としてサロミナ22(牝・父ドゥラメンテ・池添)を挙げましたが、最終候補で迷ったのがシーズアタイガー22(牝・父エピファネイア・堀)でした。村上厩舎長からは賛辞の言葉が並び、「クラシック制覇を期待しています」という力強い言葉も。
他の牝馬の注目馬としては、山根厩舎長が「6月新馬にターゲッティング」「時計の詰まり方、動きの質が高い」というエピックラヴ22(牝・父ジャスタウェイ・松下)。それから、同じく山根厩舎長が「フットワークの伸びが良く、来春が楽しみ」というコーステッド22(牝・父キズナ・福永)はオークス候補でしょうか。佐藤厩舎長が「どこから使い出しても一発回答できそう」というツルマルワンピース22(牝・父エピファネイア・大竹)、大谷厩舎長曰く「完成度が高くPOG向き」というジョイカネラ22(牝・父Frankel・手塚)も早めから活躍が期待できそうです。岡厩舎長が「背中が抜群にいい」というラヴズオンリーミー22(牝・父サトノダイヤモンド・矢作)も要マーク。

ノーザンファーム空港注目馬

本編の編集部オススメ6頭に挙げなかった馬で、いの一番に取り上げたいのはミスエーニョ22(牝・父キズナ・松下)。3歳世代ではステレンボッシュ、ボンドガールを送り出した橋口厩舎長が「ポテンシャルは一つ二つ抜けていると思う」と絶賛する逸材です。既にゲート試験にも合格しており、昨年のボンドガールのような、いや、それ以上の活躍が見込めそう。本編で取り上げたミッキークイーン22(牝・父エピファネイア・堀)と甲乙つけがたい素質馬です。
藤田オーナーの牝馬のエースになりそうなのがゴーマギーゴー22(牝・父キズナ・手塚)。菅原厩舎長も「自信があります」とキッパリ。同じく菅原厩舎長が手がけるホームカミングクイーン22(牝・父キズナ・国枝)も、クラブの募集馬ツアーの頃からオーラのある馬でしたが、そのままいい成長を遂げている様子。また、メチャコルタ22(牝・父キズナ・橋口)、ヤンキーローズ22(牝・父キズナ・中内田)も現場の評価が高く、キズナ牝馬は目移りする豪華なラインナップですね。
牡馬の注目はアパパネ22(牡・父ブラックタイド・国枝)。藤波厩舎長が「まるでディープ」と乗り味の良さを賞賛する素質馬です。国枝調教師に悲願のダービーをプレゼントするのはこの馬かもしれません。マイラータイプかもしれませんが、同じ国枝厩舎で早期から大活躍が見込めそうなのがチェッキーノ22(牡・父ブリックスアンドモルタル・国枝)。6月東京デビューが濃厚です。
レッドティー22(牡・父エピファネイア・矢作)、リュズキナ22(牡・父エピファネイア・池江)、ライジングクロス22(牡・父キタサンブラック・斉藤崇)などはヒットの延長でホームランがありそうな即戦力候補。クラシックタイプながらリアリサトリス22(牡・父キタサンブラック・堀)は既に入厩してゲート試験にも合格済みです。
コナブリュワーズ22(牡・父キズナ・須貝)も牧場サイドの評価が非常に高く、隠し球的存在…と思っていましたが、早期入厩のためバレてしまいそうですね(笑)。

その他の注目馬

三嶋牧場の藤井トレーニングマネージャーが、昨年絶賛していた姉以上の期待を寄せているのがミッキーチャーム22(牝・父エピファネイア・中内田)。「クラシックに皆勤して欲しい」というコメント通りの活躍を期待したいと思います。
矢作調教師が“五本の矢”の一角に挙げたレインオンザデューン22(牡・父ドゥラメンテ・矢作)は当然期待大。シュウジデイファームの池上マネージャーも「しっかり作って送り出したい」と力強くおっしゃっていました。
ビッグレッドファームで行われた公開調教で一番時計、二番時計を記録した2頭にも注目。一番時計を記録したホクトグレイン22(牡・父ウインブライト・松永康)は4ハロン53秒2-1ハロン12秒8。BRF明和の榎並調教主任は「大柄で中身が出来てくるのに時間が掛かるタイプ」と思っていたそうで、この時期にこれだけ動けると夢が広がります。二番時計を記録したウインアルテミス22(牡・父ウインブライト・畠山)には松岡騎手が騎乗。まさに“チームブライト”が再結成されました。コスモヴューファームの出口場長も「大きいところを狙いたい」と好感触。
千代田牧場のミリオンドリームズ22(牡・父エピファネイア・杉山晴)は、普段、寡黙な乗り役さんが「これはちょっとヤバいかも!」と話したというエピソードが強烈。規格外の大物に育つかもしれません。
社台ファームの合同撮影会からの注目馬は血統面も含めてサラフィナ22(牝・父ブリックスアンドモルタル・須貝)でしょうか。仕上がり良く、早期入厩となりそうです。藤田晋オーナーのところで名前が挙がったソルヴェイグ22(牡・父ブリックスアンドモルタル・武幸)、矢作調教師のところで名前が挙がったドロウアカード22(牡・父ブリックスアンドモルタル・矢作)も指名候補でしょう、奇しくも3頭ともブリックスアンドモルタル産駒ですね。
追分ファームリリーバレーのインフレキシビリティ22(牝・父オルフェーヴル・矢作)は矢作調教師の評価が高い一頭。それから、合同取材には出ていませんでしたが、チェルシークロイスターズ22(牡・父エピファネイア・武英)にも注目。平沼厩舎長の評価が高く、既にゲート試験にも合格しています。順調なら6月京都のデビューも十分あるでしょう。


取材日:2024年5月10日/公開日:2024年5月14日/聞き手:松山崇

あの良血馬が見違えるほど良化

──『POG直球勝負』で取材した馬たちの“その後”について、ノーザンファーム空港事務局の杉田さんにお話を伺います。早速ですが、取材後の4月末以降に移動した中で、良化が目立っていた馬から教えていただけますか。

マディソンガール(牝・父キズナ、母ヤンキーローズ・中内田)ですね。合同取材後から移動までの1ヶ月半、しっかり乗り込まれたことで筋肉量も増え、毛ヅヤも良くなりました。精神面、馬体面、全ての面でレベルアップした印象です」

──取材時に中川厩舎長は「4月に調教の強度を一段階上げる予定」とおっしゃっていました。

「4月半ばに一回だけ速いところをやったのですが、ミッキークイーン22と遜色ない動きを見せてくれました。厩舎長から『良くなっている』というコメントも出ています。見た目も中身も、取材時からだいぶ変わっていると思いますよ」

──取材時は、「2頭ともいいけどエースはミッキークイーン22かな」という印象でしたが、現段階ではツートップ、両翼と言ってしまって良さそうですね。

取材後の良化が目立つ馬たち

──では続いて、まだ移動していない馬から、ここにきての良化が目立つ馬を教えていただけますか?

オンザムーブ(牡・父モーリス、母ハヴユーゴーンアウェイ・矢作)が良くなっています。現在ハロン14秒まで進めていて馬体重は488キロ。元々、立派な馬でしたが、さらに筋肉量が増しています。ほどよい前向きさがあって、一言で表すと『仕上がったな』という印象。具体的にレースを使われている姿をイメージできるぐらいに、態勢は整っています」

──あとは矢作調教師の判断次第、ということになりそうですね。牝馬はいかがでしょうか?

ジュントップヒトミ22(牝・父ドゥラメンテ・友道)がいいですよ。こちらも現在ハロン14秒で馬体重は506キロです。立派なフレームを持っていたところに、筋肉量が増したことで、ボリュームが出てきました。それでいてまだ成長の余地も十分に残していて、“早い段階では能力でこなして3歳以降に本格化”というドゥラメンテ産駒の成功パターンに当てはまりそうだと感じています。5月中には移動となるのではないでしょうか。それから、誌面に出ている山本昌さんに気を遣ったわけではなく(笑)、フィヤール(牝・父リアルスティール、母ドバイマジェスティ・藤原)もいい成長を見せています」

──フィヤールは取材時に林厩舎長から「想像の二倍速ぐらいで成長している」というコメントがありましたが?

「取材後も引き続き、そのスピードで成長を続けている印象です。厩舎長も『体幹が強く、バネが強化されている』と手応えを感じているようですよ。現在はハロン15秒の調教で、馬体重は429キロ。適度にリフレッシュを入れつつ進めているので、調教強度を上げても馬体はキープ出来ています。体力的にはもっと速いところをやれるものが備わっているのですが、秋デビューを目標にしているので、敢えて無理はさせずに、といったところですね」

赤丸急上昇中の「F馬」は?

──誌面に登場していただいた藤田晋オーナーの所有馬についても教えてください。

「取材後の良化が目立つという意味ではマイクインダム(牝・父ロードカナロア、母マニーズオンシャーロット・中内田)を挙げたいですね。取材の段階では『緩さ』というフレーズも出ていましたが、調教を積むごとに緩さが解消して素軽さが出てきました。現在はハロン14秒をやっていて馬体重は474キロ。先週初めて3ハロン42秒を切るところまで進めてみたところ、初めてにしては十分に動けていました。5月中の移動もありそうです」

──取材時はハロン16秒で馬体重も464キロでしたから、数字の上でも成長ぶりがよくわかりますね。

「取材時から厩舎長の評価も高かったと思いますが、ゴーソーファー(牝・父キズナ、母ゴーマギーゴー・手塚)も相変わらずいいですね。よく動けていたので、体の成長を待っている段階だったのですが、その甲斐があって、芯が入って、馬体にメリハリが出てきました。坂路での体の使い方、フットワークからも、センスの良さを凄く感じます。これなら近々の移動も視野に入ってくるでしょう。ただ、本当に良くなるのは3歳以降かなという印象なので、仮に2歳からポンポンと勝つようなことがあれば、将来的には相当なところまでいけるのではないでしょうか」

──エピファランド(牝・父エピファネイア、母ラーゴブルー・武幸)についても一言いただけますか? この馬は、取材後に少し疲れが出て休んでいた時期があったので掲載を見送ったのですが。

「3月中旬に2週間ほど休ませましたが、その後は順調に乗っています。現在の馬体重は488キロですね。林厩舎長からも『エンジン性能は厩舎内でもトップクラス』『エピファネイア産駒の“いい馬”という印象』という力強いコメントをいただいていますよ」

エピファランド(写真/ノーザンファーム空港提供)

取材馬以外で良化が目立つ3頭はこの馬たち!

──では最後に、『POG直球勝負』に掲載した馬以外で、ここにきての良化が目立つ“杉田チョイス”を教えていただけますか?

「3頭用意してきました。1頭目がヴィンセンシオ(牡・父リアルスティール、母シーリア・森一)。キャロットクラブの追加募集馬で、その時にもかなりの人気を集めていたようですね。現在、ハロン14秒で馬体重は488キロ。来週の移動を予定しているほど順調です。血統表にラヴズオンリーミー、シーザリオなどの名前が並ぶ良血馬ですが、それに相応しい実力を秘めていて、とにかく現場の声がポジティブなんですよ。誰に聞いても『いいです』『いいです』と。強いて気になる点を挙げるとすればテンションが上がりやすいところですが、実際に乗ると気にならないということですよ」

──それは、追加募集で出資が叶った皆さんにとっては嬉しい情報ですね。では残りの2頭もお願いします。

「2頭目はリンクスティップ(牝・父キタサンブラック、母ダンスウィズキトゥン・西村)です。こちらは現在ハロン15秒で476キロ。この馬はオークス候補ですね。馬体重はあるものの少し薄い印象だったのですが、ジワジワと良くなっています。トビの大きな走りで、秘めている能力は高そうなので、牝馬の中距離路線を歩んでオークスに駒を進めて欲しいなと思っています。そして3頭目がラッフルズドリーム(牝・父エピファネイア、母キングスローズ・宮田)。非常に写真映えする馬で、わかりやすく“いい馬”です。体つきはいいのですが、少し前向きさに欠ける面があったので、牧場で調整してきました。併せ馬を取り入れたり、ムチを入れたりと色々と試してみたところ、ここにきてようやく前向きさが出てきています。心身ともに成長したことで気持ちの面も変わってきたのでしょうね」

──こちらの2頭は、まさにこの1〜2ヶ月で変わってきたタイプでしょうから、まさに“魔球”に相応しい存在ですね。活躍を楽しみにしています。今日はありがとうございました。


取材日:2024年5月15日/公開日:2024年5月17日/聞き手:編集K3

編集部の都合により、本編では不掲載となってしまった大山ヒルズさん。毎年、合同撮影会で耳立て係をさせていただいていた身としては大変な不義理を働いてしまったわけですが、齋藤慎取締役ディレクターのご厚意により特別にお話を聞かせていただけることになりました。

牝馬のオススメ3頭 合同撮影会には出てこなかった馬が急浮上!

──この度はわざわざお時間を作っていただき、本当にありがとうございます。3月末の状況は他媒体で読ませていただきましたが、どうしても最新の状況をうかがいたくてお邪魔させていただきました。

「馬は毎日変わりますからね。中には3月末に秋デビュー目標と言っていたのに、一気に良化してすでに入厩した馬もいますよ」

──かつてのワンアンドオンリーもそうでしたよね。取材したときはそこまで早くないという話でしたが、夏にデビューしていました。

「今年の2歳は特に順調で、現時点で入厩済みの馬が例年の2〜3倍います」

──では、さっそくですが、直球でうかがいます。POGでオススメの馬を教えてください。できれば牡牝で3頭ずつ……。

「わかりました。では、現時点で特に順調な馬を紹介したいと思います」

──ありがとうございます!!!

「牝馬の1頭目は、エンジェルラダー(牝・父Nyquist、母Tiz Miz Sue・木村)です。先週、ゲート試験に合格しました。木村調教師も『前向きで一生懸命走る』とおっしゃっていて、そのまま競馬に行くか、一度放牧に出すかはわかりませんが、いずれにせよ初戦から勝ち負けだと思います」

──半妹のセランはUAEオークスに遠征して3着に好走していますね。

「キーンランド・セプテンバー1歳セールで72.5万ドル(1億円以上)で落札しましたが、セランの下だからというよりも、馬が素晴らしかったから購入したということです。馬体を見ると、上腕の筋肉が発達していてアスリートのような体をしています。トモは薄めですが、逆にそれが芝もこなせそうなスピードタイプに映ります」

──牝馬の2頭目はどの馬でしょうか?

ドゥアムール(牝・父ロードカナロア、母ルシュクル・中竹)です。筋肉のメリハリが効いた素晴らしい馬体をしています。先週入厩して、いまゲート試験に向けて進めているようです。この血統ですし、間違いなくスピードタイプだと思いますが、馬体からは距離の融通が効きそうな雰囲気があります」

──5月生まれでも仕上がりが早いというのは、さすがルシュクルの仔ですね。

「そうですね。こちらでは基本的に生まれ月に関係なく調教していって、動きを見て進め方を決定しているんですが、ドゥアムールは乗り込み始めたらすぐに仕上がっていきました」

──どうしても函館2歳Sを期待してしまいますね。

「3頭目はアンジュオスリール(牝・父ディスクリートキャット、母スーリール・和田正)です。フラワーCを勝ったエミューの半妹なんですが、エミューよりシャープな馬体で、とても見栄えがします」

──合同撮影会に出てきていないようなので、これは貴重なお話ですね。

「ディスクリートキャットはダートのイメージが強いですけど、この馬はスマートで、軽いスピードがありそうな芝向きの体型をしています」

──ディスクリートキャットの代表産駒、オオバンブルマイは京王杯2歳S、アーリントンCを勝って、賞金約5億円のゴールデンイーグル(豪芝GⅠ)も勝ちました。そして、そのオオバンブルマイの育成をされたのが大山ヒルズさんですから、非常に説得力があります。

「すでにゲート試験に合格して、そのまま調教を進めているので、デビューまでにそれほど時間はかからないと思います」

──“魔球”に相応しい馬ですね。

牡馬のオススメ3頭 夏から楽しめそうな良血馬たち

──続いて牡馬のオススメを教えてください。

タヴァネスタン(牡・父American Pharoah、母Elisheva・藤岡)は今週入厩する予定です。力強さが伝わってくるバランスの良い馬体をしています。胴に伸びがあるので距離の融通が利きそうに見えるんですが、やはりビリーヴの血統で前向きなところがあるので、距離適性は短めに出るかもしれません」

──上の2頭はともに新馬勝ちしていますね。デビューはいつ頃ですか?

「夏前にデビューできるかもしれません。良いイメージで成長してくれたので期待しています」

──牡馬の2頭目はどの馬ですか?

シーク(牡・父キズナ、母セレブラール・角田)です。ゲート試験に合格した後、こちらに帰って来て、夏デビューに向けて乗り込んでいます。この血統もルシュクルと一緒で、早く仕上がるタイプです」

──姉には重賞5勝のベルカント、重賞2勝のイベリスがいますね。

「素晴らしく仔出しの良い母で、兄姉に9頭いて8頭が勝ち上がっています。現3歳のブルボンクイーンも現時点で2着3回、3着1回という成績です。シークはきょうだいの中でも一番大きくて、パワフルです」

──距離適性は短いところでしょうか?

「気性は前向きですけど、最近のセレブラールの仔はわりと距離の融通が利くようになってきているので、マイルだったら十分にこなせるんじゃないかと思っています」

──では、牡馬の3頭目をお願いします。

マンオブノーブル(牡・父キズナ、母キトゥンズクイーン・池江)です。トゥデイイズザデイ、ヴィヴァンの半弟ですが、馬体は兄たちよりも一回りコンパクトな430キロ台で、そのぶん軽い芝向きのスピードタイプじゃないかと思います」

──調教で乗っている神田ゼネラルマネージャーもバネがあると絶賛していました。

「他のキズナ産駒と比べても素軽いキャンターをするので、いかにも芝のキレ味勝負に向きそうな印象です」

──仕上がりも順調ですか?

「声がかかったらすぐに入厩できるような状態ですし、池江厩舎ならゲート試験に合格して何も問題なければそのままデビューもありそうです」

偶然洗い場にいたマンオブノーブルを撮影させていただきました。

──現3歳のキズナ産駒が大活躍していますが、やっぱり2歳もキズナ産駒に注目なんですね。ノースヒルズ生産のキズナとコントレイルがディープインパクトの正統な後継種牡馬になって、日本の競馬を引っ張っていく未来が見えてきました。

「先日、北海道でコントレイルの1歳と当歳を見たんですけど、みんな品があり馬格があって驚きました。この後どう変わるかわかりませんが、現時点ではキズナの仔を初めて見た時よりも良い印象を持っています」

──来年の合同撮影会はキズナ産駒とコントレイル産駒をたくさん見せていただけそうですね。今から楽しみです。

大山ヒルズ 主な2歳馬リスト(*印は預託馬)

馬名 父名 母名 性別 メモ
ステラニーナ アニマルキングダム エクロジオン  
シリウスライト アメリカンペイトリオット クリスタルオーブ  
*ゴッドヴァレー アルアイン サラシー 入厩済み
ロールザダイス エピファネイア エレーデ   
グランセゾン オルフェーヴル ディルガ 近々入厩予定 
ストラニエーロ キズナ アニエラ  
ジェルブロア キズナ イングランドローズ  
コルドンブルー キズナ ヴァイセフラウ  
プロメトル キズナ ヴィーゲンリート  
コンソーシアム キズナ ヴェントス   
ルールーリマ キズナ エヴァイエ  
リギーロ キズナ エディン  順調。早くゲート試験を受けたい
マンオブノーブル キズナ キトゥンズクイーン  上記参照
ワース キズナ キラモサ 近々入厩予定
アンビアンス キズナ クリアリーコンフューズド 順調。早めの始動予定
セルマン キズナ シーエスシルク 焦らず秋予定
ジャストドゥイット キズナ ジャルダンスクレ   
ディンプルフェイス キズナ ストレプトカーパス ゲート合格後、大山で調整中
シーク キズナ セレブラール 上記参照
ミストレス キズナ チェロキーメイドン 焦らず秋予定
ロカヒ キズナ テンモース   
テイクイットオール キズナ トップソリスト   
ルジャーダ キズナ ドリームジョブ  
ガールクラッシュ キズナ ノイーヴァ 5/16入厩
サンディエゴ キズナ ファイネストシティ 順調。焦らず秋予定
ハッピーウィズユー キズナ フェアエレン 焦らず秋予定
ピリナマアナ キズナ ユメノトビラ  
シームルグ キズナ ラルムドランジュ  
ロージースカイ キズナ ロードクロサイト  
リッター キズナ ワンダーオブリップス 焦らず秋予定
ブラックレイ キタサンブラック アポロフィオリーナ  
ラヴェンデル キンシャサノキセキ ザナ 最近具合が良くなり予定を早める
ヴォワラクテ キンシャサノキセキ レリカリオ  
クリオシダード サートゥルナーリア オールスマイル  順調。早めの始動予定
チームビルディング サトノアラジン サリエル  焦らず秋予定
フーダオラ サトノダイヤモンド スズカモナミ  
バシリス シニスターミニスター キングベイビー  
コンセントレイト ジャスタウェイ ケープジャスミン   
サンブリンガー ダイワメジャー ユナリオンス   
レイピア タワーオブロンドン アンナトルテ  
アンジュオスリール ディスクリートキャット スーリール 上記参照
*ザイル ドゥラメンテ ユーロナイトメア 焦らず秋予定
ラブリーウィザード トランセンド ピンウィール  
スキュア トランセンド ラナンキュラス   
エーデルワイス ドレフォン アイトマコト  
アンノドミニ ドレフォン スパイクナード   
パシーヴ ニューイヤーズデイ ローレライ   
バルナバ ハービンジャー クライミングローズ  秋予定
ランヴェルセ バゴ カフェブリリアント  
*カシオペア ビッグアーサー リトルアマポーラ 秋予定
アルデショワ ブリックスアンドモルタル トラディション  
バイマイセルフ ベストウォーリア エクレアオール  
モーニングマジック マインドユアビスケッツ シャスターデイジー  
ピンクパラダイス マクフィ ブライトムーン  
フィルン マクフィ ラバニ―ユ  
ネトル マジェスティックウォリアー アニエーゼ  
サルタール マジェスティックウォリアー イグレット   
ガンナール マジェスティックウォリアー キエレ   
リーサイェイ ミッキーアイル コウエイダリア  
トロイメライ モズアスコット ヴォルドニュイ  
オーバースタンド モズアスコット クロランサス  
ルヴァロワール モズアスコット マツリカ ゲート合格後、大山で調整中
ブルーレース モズアスコット ユースティティア  
ヴォルクメア ラニ ガラッシアファータ  
オンクラウドナイン ラニ シアージュ  
バレンシア ラニ ラトナプラ  
ウラルト リアルインパクト ヴィクトリアアイ   
シェリルファミーユ リアルスティール アンジュエ  
プチプランス リアルスティール シャイスター  
クレプスクルム リアルスティール ラッタッタ  
ニューエラ ルーラーシップ アングルティール ゲート合格。夏デビュー予定
クナウティア ルーラーシップ シェルエメール  
*パールペンダント ルーラーシップ ピンクガーベラ 焦らず秋予定
レイヤー レイデオロ デビュタント   
デュアルタスク レッドファルクス ホオポノポノ  
ベルジュロネット ロードカナロア ベルカント  秋予定
ドゥアムール ロードカナロア ルシュクル 上記参照
キスアンドクライ ワンアンドオンリー アンラッシュ  
カシンフウ ワンアンドオンリー エミナ  
タヴァネスタン American Pharoah Elisheva 上記参照
ラージギャラリー American Pharoah Scarlet Color ゲート合格後、大山で調整中
スパークルノヴァ Authentic マジックファウンテン  
デルアヴァー Frankel Amour Briller 近々入厩予定 
サディーク Into Mischief Moonshine Memories 入厩済み
アファリン Justify Rusty Slipper 近々入厩予定 
クランドゥイユ Kingman Villa d'Amore 焦らず秋予定
アインプレーゲン Mendelssohn Heavenly Romance 焦らず秋予定
エンジェルラダー Nyquist Tiz Miz Sue 上記参照
イリフィ Too Darn Hot Trethias 近々入厩予定 

 


取材日:2024年5月17日/公開日:2024年5月22日/聞き手:松山崇

注目の外国産馬Magic America22は順調に良化中

──『POG直球勝負』で取材した馬たちの“その後”について、ノーザンファーム早来営業の宮本さんにお話を伺います。まずは誌面でインタビューさせていただいた藤田晋オーナーの所有馬について教えてください。

「大きく取り上げていただいたエリキング(牡・父キズナ、母ヤングスター・中内田)は3月中に栗東トレセンに入厩しています。その後も順調なようですし、楽しみです! こちらにいる馬ならリリカルガンマン(牝・父フィエールマン、母サンタフェチーフ・手塚)はスタッフの感触が良くなってきましたよ。ブリックスラテ(牡・父ブリックスアンドモルタル、母ラテアート・武幸)も3月の取材時には厩舎長から『ハミにもたれる面がある』などというコメントも出ていましたが、だいぶ体が成長して、それに伴いモタれる面も解消されてきています。じっくり進めることで、しっかり変わり身がみられています。またMagic America22(牡・父Wootton Bassett・矢作)は坂路を週3回2本登坂していて、ペースも3ハロン45秒を切る日もあります。大分力がついてきましたよ。順調に乗り込みが進んでいます」

厩舎長も良化を実感している良血馬とは?

──46頭取材させていただき、既に半数以上が移動しています。移動済みの馬で注目馬を挙げるとしたら、どの馬になりますか?

「まずはアロンズロッド(牡・父エピファネイア、母アーモンドアイ・国枝)になってしまいますね。合同取材後もしっかり乗り込まれて、より競走馬らしい体付きになったところで送り出すことができました。スワーヴゴダイヴァ(牝・父エピファネイア、母シーズアタイガー・堀)も、何も頓挫なく順調に入厩の連絡を待つことができました」

──では続いて、取材馬でまだ移動していない組から、ここにきての良化が目立つ馬を教えていただけますか?

「春先から変わってきたという点ではシオーグ(牝・父Wootton Bassett、母Deirdre・中竹)です。輸入馬で、入場当初は幼さが目立っていたのですが、ここにきて、毛ヅヤがぐんと良くなり馬体にもハリが出てきました。本当に良くなっています。ファイアンクランツ(牡・父ドゥラメンテ、母カラフルブラッサム・堀)も馬体の成長に伴い、動きが良くなった一頭。こちらは『ダービーが終わったら入厩』という話も出ているので、近々、移動になるでしょう」

──取材時に厩舎長が「秋の目玉候補」とおっしゃっていた2頭、キングノジョー(牡・父シルバーステート、母パレスルーマー・田中博)とフィールドノート(牡・父ロードカナロア、母フィンレイズラッキーチャーム・木村)についても教えてください。

「2頭ともに順調ですよ。キングノジョーは変わりなく秋デビューを念頭に、じっくりと進められていますが、乗り込み量は豊富です。フィールドノートはこの取材のためにチェックしていた一頭で、春先からの伸びが大きいですね。走りのバランスが良くなって、厩舎長も良化が実感できると話していました。4月26日生まれと遅生まれですし、これからさらに変わってくると思います」

取材後の良化が目立つ牝馬を4頭ご紹介

──『POG直球勝負』で取材していない馬たちで、良化が目立つ馬についても教えてください。

「牝馬なら、まずはウフルピーク(牝・父ロードカナロア、母アルーシャ・藤岡)。初仔ということもあって馬体が小さくて、クラブでもしばらく残口があったようですが、現在は馬体重が430キロぐらいまで大きくなっています。元々、小さいながらもバランスの良さは目立っていて、そこにサイズ感が伴ってきました。放牧を挟みながら進めることで、馬体を減らすことなく調教も積めています。ハーバードスクエア(牝・父キズナ、母パシオンルージュ・木村)も、春先はまだ幼さが目立っていましたが、体の成長に伴い動けるようになってきました。調教強度を上げながらも430キロ前後の馬体重をキープできています」

──ハーバードスクエアはファインルージュの全妹という良血ですね。

ザローズハーツ(牝・父ミスターメロディ、母ロゼリーナ・大竹)は馬体の良化が目立ちます。以前はコロンとした体型で、バリバリ調教を積めている馬との差が否めない印象だったのですが、ここにきて馬体に厚みが出て、毛ヅヤもかなり良くなって、いわゆる“競走馬らしく”なってきました。調教を積みながら3月には430キロだった馬体重が20キロほど増えています。厩舎では北海道でのゲート試験をイメージしながら進めているのですが、大竹先生に状態を確認いただいたときに、順調なので前倒しもできそう、との話もありました。それからサトノオリエンタル(牝・父リアルスティール、母イースト・高橋亮)は、緩さ、動きの物足りなさが解消して、春先よりもかなり良化しています。厩舎内(岡厩舎)の中でも、変化が特に目立つ一頭です」

血統の良さに見合う動き、馬体になってきたヴァルチャースター

──続いて牡馬についてもお願いします。

「精神面の落ち着きが出て、馬体、動きともに良くなってきたのはカザンラク(牡・父シルバーステート、母ヴィアンローズ・嘉藤)ですね。同じキャロットクラブではヴァルチャースター(牡・父サートゥルナーリア、母ハープスター・池添)も良くなっています。華奢な馬だったのが、放牧を交えながら乗り込んで馬体重が450キロぐらいまで増えて、調教でも能力を感じる動きをみせています。血統の良さに見合う動き、馬体になってきた印象で、まだまだ良くなりますよ」

──ヴァルチャースターは新種牡馬サートゥルナーリアの目玉の一頭ですよね。牝馬も4頭教えていただいたので、牡馬もあと2頭お願いできますか?

トリポリタニア(牡・父ルヴァンスレーヴ、母トリプライト・上村)は春先に450キロ〜460キロぐらいだったのが、現在は470キロ前後まで増えています。春時点ではややもっさりとした動きだったのが、ここにきて素軽さが出てきました。馬体重が増えて馬体に厚みが出てきている中で、動きは素軽さが増しているというのが非常にいいですね。最後に、ここ1〜2ヶ月で良くなった馬としてダノンカゼルタ(牡・父サートゥルナーリア、母カゼルタ・寺島)を挙げたいと思います。厩舎内(山内厩舎)でも変化の大きさが目立つ一頭で、来週に移動になる予定です」

──まさに“魔球”の趣旨に相応しい、赤丸急上昇馬ですね。本日はありがとうございました。


「用意したリストが尽きてしまった!」「他の人が選ばないような馬を指名したい!」そんな方のために7頭の隠し球を用意しました。信じるか信じないかはあなた次第です。

マイベストダンサー(牝)
(栗)斉藤崇
父/バゴ
母/ハピネスダンサー(メイショウサムソン)

モルティフレーバー(牝)
(栗)清水詞
父/キタサンブラック
母/チャイマックス(Congrats)

ララセドラティエ(牝)
(美)田中博
父/リオンディーズ
母/アンジュシャルマン(マンハッタンカフェ)

ダンケルド(牡)
(美)森一
父/ミッキーアイル
母/カレドニアレディ(Firebreak)

ドンパッショーネ(牡)
(栗)斉藤崇
父/Quality Road
母/ストーミーエンブレイス(Circular Quay)

サトノシャムロック(牡)
(美)田中博
父/ニューイヤーズデイ
母/ヒップホップスワン(Tiz Wonderful)

タイセイドラード(牡)
厩舎未定
父/American Pharoah
母/ミスベジル

 マイベストダンサーはNF空港で育成中。POG取材後の春先からの良化が著しい一頭とのこと。モルティフレイバーも同様のタイプ。こちらはNF早来でPOG取材後の良化が目立っているとか。ララセドラティエは美浦のゼッケン番号2番。NF空港の橋口厩舎長も「万全で送り出した」とのことで、早い時期からの活躍を期待します。
 ダンケルドは乗り役の方がスピード能力に太鼓判を押してくれました。牡馬のラスト3頭はダートでの活躍も視野に入れた隠し球候補。ドンパッショーネは既に北海道から移動済み。サトノシャムロックも良化が目立ちます。タイセイドラードは元々評価の高かった馬が、ここにきて再度上昇カーブを描いている印象。


直前情報“魔球”は以上となります。
読者の皆さんの指名馬が活躍しますように!
取材に応じてくださいました牧場の方々にも重ねてお礼申し上げます。

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